ほやは5つの味覚「甘味、塩味、酸味、苦味、うま味」をすべて持つ非常に珍しい食材

皆さんは、ほやって食べたことありますか?
ほやは、東北を中心に食べられる「海のパイナップル」とも呼ばれる海産物で、お刺身などでよく食べられています。

そんなほやは、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の人間の5つの味覚をすべて持つ非常に珍しい食材なんです。

意外と知られていない、ほやの魅力を多くの人たちに知ってもらうために5つに分け魅力を紹介します!

ほやの5味

①ほやのもつ栄養価がすごい!?

ほやの栄養素

実は、ほやのもつ栄養価がすごいんです!
ホヤには鉄・亜鉛といったミネラルが豊富に含まれており、疲労回復や集中力を高める効果があるといわれるグリコーゲンも豊富に含まれています。

ほやのむき身1.5個分を食べると、子供と女性の1日分の鉄分と亜鉛が取れます。

ホヤは消化、吸収が早く優秀な動物性たんぱく源です。多く含んでいるビタミンEやビタミンB12は脂溶性ビタミンといい、強い抗酸化作用があります。

その他にも成人病の予防効果があるとされているタウリンや鉄分、ビタミンB12といった栄養素も豊富に含まれていて、美味しいだけでなく美容や健康にもよい食べ物です。

ほやのもつ栄養価比較1

参考むき身100g当たり

ほやの栄養素比較

 

ほやのもつ栄養価比較2

可食部100mg当たり

注目の成分【プラズマローゲン

また近年ホヤに含まれるプラズマローゲンという成分に注目が集まっています。

プラズマローゲンは、認知症を改善や予防する効果などに期待されています。

プラズマローゲンとはリン脂質の一種 リン脂質とは主に細胞や脳細胞の構成物質 → ホタテの4倍 脳の約6割は脂質でできている 脂質の内訳 コレステロール約50% オメガ3系脂肪酸約25% リン脂質約25% このリン脂質のうちの18%がプラズマローゲン

注目される理由として

  • 認知症を改善や予防する効果に期待
  • アルツハイマーに有効との試験結果
  • 加齢により減少するものであること
  • 減少に伴い脳機能が低下する
  • 脳細胞の機能を守るはたらきがある

出典元:
Ginsberg L, et al., "Disease and anatomic specificity of ethanolamine
plasmalogen deficiency in Alzheimer's disease brain.", Brain Res.,
698(1 2), 223 226 (1995).
Maeba R, et al., "Plasmalogens in human serum positively correlate with
high density lipoprotein and decrease with aging", J Atheroscier Thromb .,
14(1), pp.12 18(2007)

②子供の味覚が育つ!?

子どもの味覚の発達は12歳ピーク

子どもの味覚の発達は12歳がピークと言われてます。
味覚のカギとなるのは、舌の表面にある「味蕾(みらい)」という器官で食べ物に含まれる味は、まずこの味蕾でキャッチされ、神経細胞を通して脳に伝えられ、「甘い」とか「酸っぱい」を感じることができます。
味蕾は8歳から急速に増え、12歳をピークに減少していくとされ、ピーク時では約1万2000個ほどあり、大人になるにつれて半減してしまいます。
それに、味蕾はあっても鍛えないとさびついて、使い物にならなくなってしまうのです。
だから味蕾がどんどん増える小学生のうちに、しっかり使って鍛える必要があります。
ほやはこの味覚を感知する5味を含むことから、子どもの食育としても沿岸地域では大切にされてきました。

味覚を支える栄養素 亜鉛

味覚を支える味蕾には「亜鉛」 といった、とても重要な栄養素が関係しています。
この亜鉛はホヤに豊富にふくまれていることからも、ホヤは味覚を育てる5味を含むだけでなく味覚を育てる要素がすべて詰まった食材といえます。

味を感じる部分 旨味、甘み、塩味、酸味、苦味

③子供の脳が育つ!?

ほやには子どもの脳の成長を支える栄養素が豊富

ほやには子どもの脳の成長を支える栄養素が豊富で、例えば脳機能を正常に保つのに役立つDHA・EPAなどが含まれています。

DHA
EPA

  • 前頭葉の栄養素
  • 読解力、記憶力
  • 視力の栄養素
  • 脳内の伝達サポート

鉄分

  • 脳内伝達物質の栄養
  • 脳へのエネルギー供給
  • 脳への酸素運搬
  • ストレス耐性

アミノ酸

  • 学習記憶
  • 睡眠ホルモンの栄養素
  • 集中力、ストレス耐性
  • 発達促進の栄養

タウリン

  • 運動調節の栄養素
  • 記憶力の栄養素
  • 頭頂葉の栄養素
  • 興奮を沈める栄養素

亜鉛

  • 学習記憶
  • 味覚や知覚の維持
  • 発育促進の栄養素
  • 視力の栄養素

Mg

  • 学習記憶
  • 神経の栄養素
  • 情動安定の栄養
  • 睡眠ホルモンの栄養

カルシウム

  • 学習記憶
  • 細胞の情報伝達
  • 抗アレルギー
  • 骨、歯、心筋の成長

④女性に嬉しい栄養成分が豊富

女性に特に必要とされる栄養素が豊富

女性ホルモンを支え、からだとこころを整えるために必要な2大ミネラルの鉄分と亜鉛が、ほやには含まれています。肌荒れの悩みなどには、亜鉛などの摂取が効果的です。 

女性に一番必要な栄養

  • 赤血球の第一材料他、造血に必要な葉酸B12も含む
  • 生理サイクル、ホルモンの安定

実はこれらは鉄不足の症状

  • 立ち眩み、めまい、耳鳴り、頭痛
  • 手足が冷える、冷え性
  • 常に甘いものがほしい、etc

女性ホルモン分泌に必須

  • プロゲステロンの分泌に必要
  • エストロゲンの分泌に必要
  • 炎症から細胞膜を守る
  • 月経の安定に必要な栄養
  • 脳神経の保護、維持に必要

女性のライフステージを支える

  • 子宮、胎盤への血流改善
  • 妊娠、授乳中の胎児の成長
  • 子宮内膜の維持、黄体形成
  • 排卵促進、体温上昇、乳腺の発達
  • 血管収縮の抑制、カルシウムの吸収

⑤ほやの美味しさと魅力とは

ほやは、5~8月が旬の時期ですが、それ以外の時期も実は美味しくいただけるんです。12~4月は加熱料理との相性が良く、ほやしゃぶやしそ巻き天ぷらなどがおすすめ。9~11月は、臭みが残らない時期で肉厚で美味しくいただけます。

12~4月 ほやの状態 産卵期、身が薄い水ホヤ期 おすすめ 加熱料理が美味しい時期 ほやしゃぶ、しそ巻き天ぷら、アヒージョ、ほやめしなど 加熱料理と相性が良い 5~8月 ほやの状態 ほやの旬の時期 おすすめ ほやの栄養価が最大の時期 グリコーゲンはなんと8倍 アミノ酸も増で旨味アップ 9~11月 ほやの状態 サイズダウンも肉厚アップ期 おすすめ 身が厚くしまり 筋肉量やアミノ酸量が増えまだまだおいしい時期 内臓やふんが少ないので臭みが残らない時期

ホヤを食べた後に水を飲むと甘く感じる!?

ほやのもつうま味成分

実はホヤを食べた後に水を飲むと、ほやのもつアミノ酸の成分である
グリシンアラニングルタミンなどの作用で甘みを感じることができます。

ほやと水or酒で美味い・甘いと感じる
ほやきゅうりの和物

キュウリを付け合せると相性が抜群!?

ナトリウムで食欲増進

ホヤがキュウリのもつ水分を旨くしてくれます。
またホヤはナトリウムとカリウムを豊富に含みますが、ナトリウムのほうが多いので、キュウリが豊富に含むカリウムで、食べ合わせで栄養価もちょうどよくなる抜群の組み合わせです。

最後に

ホヤの魅力をご紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか?
みなさんが、ホヤを食べてみたいと思うきっかけになればと思います。

また、三陸ラボラトリでは水産業の課題と福祉の課題を包括的に解決するため、水福連携と言われる業界を跨いだ連携を組み、
農林水産省が推進する、『ノウフクアワード2022』において水産企業では史上初となる受賞をすることができました。

障害のある人たちだけで剥きホヤの製造を行った経験をもとに「仕事」に関わる考え方を発信したり、水福連携で培った知識をもとにSDGsをわかりやすく解説したりしています。

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三陸ラボラトリのSDGs