ほやとは?特徴と生態について
ほやは東北の太平洋側でしか養殖しておらず、嗜好性が高いため、なかなか目にすることがないかも知れません。
しかしほやには驚くべき特徴があります。
この記事ではほやについてのさまざまな情報をまとめましたのでぜひご覧ください。
太平洋側の東北を中心に生息
ほやは、主に太平洋側の東北地方を中心に豊富に分布しています。
その生息地域は、主に岩礁地帯で、海水中のプランクトンを主食にしています。
海底や壁に張り付くようにして生息するため、注意深く探さなければ見つかりません。
また、養殖業に適しており宮城、岩手、青森、北海道の一部で養殖され、東北で親しまれています。
原索(げんさく)動物
ほやは原索動物(げんさくどうぶつ)に分類され、その仲間にはナマコも含まれます。
原索動物は、硬い外被を持ち、外被は主に石灰質で構成され、ほやが身を守るために役立っています。
この外被が円錐形の特異な形状を作り出し、海底に根を張るように存在します。
海のパイナップルと呼ばれている
その変わった見た目から『海のパイナップル』と呼ばれております。
しかしほやの赤ちゃんはその姿形が違っており、とても可愛らしい見た目をしているのも特徴の一つです。
5つの味覚「甘味、塩味、酸味、苦味、旨味」をもつ珍しい食材
食材の味覚は通常、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5つに分類されますが。
ほやはこれら5つの味覚をもつ珍しい食材として注目されています。
その独特な風味と多彩な味わいは、お酒の友として居酒屋などで目にすることができます。
ほやの栄養素は魚介類トップクラス
ほやの栄養素は魚介類でトップクラスです。
詳しいほやの栄養素について、こちらのページで紹介しております。
女性に嬉しい栄養成分が豊富
ほやは魚介類の中でも栄養素が非常に豊富であり、特に女性にとって嬉しい成分が多く含まれています。
豊富な鉄分、亜鉛、DHAやEPAは女性の心と体の健康をサポートし、女性特有の栄養ニーズに応える食材と言えます。
子供の味覚を育てる
ほやはその多彩な味わいから、子供の味覚を育むのにも適した食材です。
甘味、塩味、酸味、苦味、旨味が一つの食材に凝縮されているため、発達途中の子供の味覚を鍛え、食材に興味を持つことが期待されます。
視覚的にも独特な形状を持つほやは、食卓を彩り、子供たちの食事の楽しさを倍増させるでしょう。
注目成分『プラズマローゲン』
また、近年ほやに含まれる『プラズマローゲン』が注目されています。
注目される理由として、
- 認知症の改善、予防する効果に期待
- アルツハイマーに有効との試験結果
- 脳細胞の機能を守る働き
などが挙げられます。
ほやの旬は5月(初夏)から8月(お盆)程度
ほやの旬の時期は5月(初夏)から8月(お盆)程度までとされており、東北の太平洋側の各スーパーの鮮魚コーナーで目にすることができます。
近年の海水温上昇によってその旬が崩れ始めており、早いところでは3月頃から販売され始め、10月下旬頃まで水揚げされることが多くなってきました。
地域によっては海水温が低くなり始める9月頃の、縮み始めたほやが1番美味しいという漁師も多くいます。
ほやの美味しい食べ方
ほやは5つの味覚を持つため、食べ方があまり多くありません。
お刺身
お刺身は、ほやの新鮮な味わいを存分に楽しむ方法の一つです。
また、水揚げされた直後の生きているほやは苦味が少なく、ほや本来の味わいを楽しむことができます。
薬味やポン酢でいただくと、その独特な風味が一層引き立ち、贅沢な味わいに仕上がります。
お刺身は、ほやの魅力を存分に堪能できる一品です。
ほやの炊き込みご飯
ほやの炊き込みご飯は、その独自の味わいをご飯に染み込ませる絶好の方法です。
ほやの旨みがご飯に広がり、一口ごとにふんわりとした風味が口いっぱいに広がります。
炊き込みご飯にすることで、ほやのプリプリとした食感とともに、米との相性も抜群。
香り高いほやご飯は、家庭料理から特別な日のご馳走まで幅広いシーンで楽しむことができます。
ほやは火を通すことで甘味が感じやすくなり、磯臭さや苦味が少なくなるため炊き込みご飯は食べやすいです。
ほやの天ぷら
ほやの天ぷらは、サクサクとした食感と、ほやの甘みがマッチした一品です。
薄い衣に包まれたほやが、揚げたてのサクサク感と共に、口の中で広がる美味しさは格別。
天ぷらの衣とほやのコンビネーションが、香ばしさと旨味を引き立てます。
天つゆやポン酢でさっぱりといただくと、その美味しさが一層引き立ちます。
また、ほやは油との相性が良いですが、ほや自体がほぼ水分なため、家庭で調理するには大変かも知れません。
岩手や宮城のお寿司屋さんで新鮮なほやの天ぷらを出すところが多いので、新鮮さと調理の手間を考えるとおすすめです。
ほや漁業の課題
ほや漁業にはたくさんの課題があります。
ここでは以下の3つについて解説します。
ほやが出荷可能なサイズになるまで4年程度かかる
ほやは出荷可能なサイズになるまで4年程度かかります。
そのため、4年間かけて様々な手入れをし、販売します。
4年後にどれくらい販売できるか予測を立てなければいけませんが、それは難しく、高齢者が多い漁業では4年後に漁師をしていない可能性があるためほやの養殖を辞めてしまう人も多いのです。
また、市場価格は相場に左右され、大量に作ったとしても、安く販売しなければならない場合があり、赤字になってしまうこともあるのです。
規格外のほやは廃棄される
スーパーでは販売しやすいサイズがあり、その規格以下のサイズは廃棄されてしまいます。
この廃棄が大きな問題となり、漁師を辞めてしまう若者が多くいるのです。
丹精込めて作ったほやを廃棄しなければならず、ある地域では規格のサイズを300kg水揚げした際に3000kgの廃棄が出てしまうのです。
SDGsの観点から見てもなんとかしなければいけない問題です。
人手がかかる割には収入になりにくい
その結果人でがかかる割には収入になりにくくなってしまい、若い世代の漁師でほや漁業をやろうとする人はかなり少なくなっています。
まとめ
ほやとは?特徴と生態について
海のパイナップルと呼ばれている
原索(げんさく)動物
太平洋側の東北を中心に生息
5つの味覚「甘味、塩味、酸味、苦味、旨味」をもつ珍しい食材
ほやの栄養素は魚介類トップクラスです。
女性に嬉しい栄養成分が豊富
子供の味覚を育てる
注目成分『プラズマローゲン』
ほやの旬は5月(初夏)から8月(お盆)程度
ほやの美味しい食べ方は、
お刺身
ほやの炊き込みご飯
ほやの天ぷら
ほや漁業の課題は多いです。
ほやが出荷可能になるまで4年程度かかる
規格外のほやは廃棄される
人手がかかる割には収入になりにくい